愛しかないけど

f:id:mizuumi_no_asa:20160308133133j:plain両親の喫茶店はバイトを雇わずふたりで切り盛りしているので、片方が倒れると途端に店がまわらなくなる。両親ともに時間差で風邪に倒れたので、ここ数日は自分のバイト以外の時間、大体私も店に立っている。

うちのお店のお客さんは、ほとんどが年配の方だ。だけど折り目正しい真面目な純喫茶、というよりは、地元の人たちが集まるやわらかな喫茶店、という感じがする。(贔屓目に見ているのかもしれない。)

おじいさんたちは、もう20も半ばになろうかという私のような女にも、可愛い可愛いと言ってくれる。若いというだけでちやほやしてくれるのでありがたい。もう70になる私のおとうさんのことまで若いと言うような方たちだ。私なんてまだ赤ちゃんみたいなものなのだろう。

「イエスタデイは、ポールが夢の中で書いた曲らしいよ」と、この間知ったばかりの話をあたかも自分の知識かのようにお父さんに話した。お父さんは店の音楽をジャズからビートルズに変えた。Eight Days a Weekが流れる、1週間に8日分の愛を。

いつもはお母さんの仕事なのだけど今日は休んでいるので、お父さんがサラダ用の玉ねぎを切った。お父さんが、お母さんのように出来ない、厚くなってしまった、とお母さんに見せるのを怖がっていて笑った。大丈夫、私が切ったらぶつ切りになっていたよ、と励ました。

お母さんにそれを報告すると、お父さんが「申し訳ありません、お詫びにナポリタンをお納めください」と赦しを請っていてまた笑った。私は自分の家族が好きだ。

まだビートルズが歌ってる。All You Need Is Love、愛こそすべて。きょうのお昼は、ナポリタン。