ホープ

f:id:mizuumi_no_asa:20160323225319j:plain街でよく会う外国のひと、最初は知らん顔、だんだん手を挙げて挨拶をするようになって、最近はHow are you?と聞かれるようになった。I'm fineしか返事を知らないのでいつもわたしはげんき。そうしてそのまままたすれ違って別れる。それだけ。

だけど昨日、ひょんなことから一緒にちょっとした夜の散歩をした。29歳、ジョージア州生まれ、誕生日は11月22日で日本に来てもう7年。日本語の話せない彼と英語の話せないわたしの拙い会話。

しあわせな気持ちになっていたら、「もう引越しをするんだ」と彼は言った。急に悲しくなって「いつ?」と聞いた。「月曜日に。仕事で遠くへ行くよ」

出会ったばかりなのに、はじめてhow are you以外の会話をしたのに、もうお別れなんだ。2年前にも、同じことがあった。街で絵を描いていたオランダ人、友達になったそのときに、来週日本を離れると言っていた。ああまたか、と思う。

彼は言った。「この街・嫌い」ほとんど日本語を話せないのに、この時だけは日本語で言った。ハッキリとした物言いがあまりに格好よくて、少し反応が遅れた。「…どうして?」「この街・しずか・次は・hope・hope」たぶん、次の街は賑やかなところがいいと願っているんだろう。わたしも言った。「hope・hope」手を合わせて。

月曜までに、また彼に会えるかは分からない。会えたら、お別れ言葉を英語で言えるように、練習しておこう。新しい場所が、明るい街でありますように、彼がたのしく暮らせますように。