おはよう

f:id:mizuumi_no_asa:20160222201630j:plain何か、しなければ。と思い立って、平日の一日休みに電車で小さな旅に出ることにした。鈍行で、片道1000円。それだけで一時間電車に揺られることが出来るらしい。遠出の気分を味わうにはそれで十分だった。

電車は、ちょっぴりセンチメンタル。

知らない街を走る車窓から見る景色に、見覚えのあるものがあった。なんだろうとしばらく考えて少しずつ思い出していく。あー、あの場所へ行ったのは、まだ暑い日だったな。あのときは車で人に連れて行ってもらって、ベタベタと汗をかくのが鬱陶しくて、少し緊張していて。そうそう、あの時だ。って考えていたら、ぽろぽろと涙がこぼれて、ハンカチも持ってない自分にがっかりしながら、きちんと化粧をしたのに面倒だな、とぼんやり思った。

知らない街を歩くのは、さみしいような、わくわくするような、複雑なきもちになる。でもそれは全くいやな感じではなく、わたしはいつもその気持ちを楽しみながら歩く。

駅を出てまっすぐ30分、前ここへ来たときも、そういえば心がすり減っていたな。カフェといくつかの雑貨屋さんがひとつの古い建物の中にある場所。カフェに入って、あたたかい珈琲と、見た目が可愛いからという理由でオレンジのブラウニーを頼んだ。雑貨屋さんをまわると、可愛いハンカチがあったので、買って帰ることにした。これでもう、泣いても大丈夫。

私は、最低な人間かもしれないけど、それでもひとつずつなおしていけたらいいな、と思う。完璧な人間なんていないけど、そこを目指すことは、悪いことじゃないよな、って、すこしすっきりした気持ちで電車に揺られながら帰った。